708worksのギターストラップづくり|革・製法へのこだわりの理由
「このストラップ、何が違うの?」と感じたことはありませんか
楽器店やネットでギターストラップを探していて、「見た目は似ているのに、なぜこんなに値段や質感が違うんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか。あるいは、「せっかく買うなら、長く使えて、自分らしい一本がほしい」と考えている方も多いはずです。
708worksは兵庫県尼崎市のハンドメイドギターストラップブランドです。今回は、私たちが素材や製法をどう選び、どこにこだわっているのかを、抽象論ではなく具体的な事実ベースでお話しします。読み終わる頃には、ストラップ選びの基準がひとつ増えているはずです。
そもそも、なぜ自分でストラップを作り始めたのか
708worksの原点は、創業者自身の「理想のストラップが見つからない」という不満でした。以前はギターメーカーに勤めており、楽器店やネットで探しても「これだ」と思えるものに出会えなかったのです。
ライブで大阪城ホールのような大きなステージに立つトップアーティストを見ても、使っているストラップはシンプルなものがほとんど。「もっと演奏する人の個性を引き立てるストラップがあってもいいのでは」という思いから、学生時代から独学で続けていたレザークラフトの経験を活かし、まず自分のために作ってみたのが始まりでした。
その最初の一本が、現在の三つ編みギターストラップ「Triad」の原型となったプロトタイプです。自分のバンドのライブで何度も愛用しましたが、使い続ける中で課題も見えてきました。素材や仕様を何度も見直し、試作と改良を重ねて現在のデザインと品質にたどり着いています。
3本の牛革ベルトを編み込んだTriad トライアドは、楽器との接点に耐久性の高い馬のヌメ革を採用。「なぜ三つ編み構造なのか」「なぜこの革か」を突き詰めた結果です。編みのデザインは主張しすぎず、それでいて既製品にはない存在感があります。
革を「これは買う」と決める基準
革は国内の複数の革問屋・革屋から仕入れています。選ぶうえで最も重視しているのは、二つ。「品質が安定していること」と「継続して供給できること」です。
どれだけ魅力的な革でも、安定してお届けできなければ製品には採用できません。せっかく気に入ったストラップの再注文ができない、というのは避けたいからです。気になる革を見つけたら少量だけ仕入れて実際に製作・検証し、品質や使い心地が優れていると判断したものだけをラインナップに加えています。
創業者の私が特に好むのは、適度なコシとハリがあり、加工性にも優れた革。見た目の美しさだけでなく、長く使い続けられる耐久性まで含めて選んでいます。
「これは失敗した」という素材選びの経験
もちろん失敗も数え切れないほど経験してきました。引っ張り強度が足りない革、色落ちが激しい革。金具でも、組み上げたときに「雰囲気がしっくりこない」と感じるものがありました。
だからこそ、新しい素材は必ず製品テストを行い、耐久性や使い心地を確認します。そして最後は、完成品を手にしたときの直感も大切に。性能が優れていても「これではない」と感じた素材は使いません。この「気に入らない素材は使わない」という姿勢が、実利としてお客様の手元に届く耐久性と使い心地につながっています。
毎回欠かさない工程と、頼れる道具たち
製作で必ず行う工程のひとつが、革の裏面(床面)の毛羽立ちを抑える処理です。この一手間を怠ると、製品の耐久性だけでなく、手に取ったときの質感まで損なわれてしまう。だからすべての製品で欠かさず実施しています。
試作の裏の立役者が「レーザーカッター」。設計データをもとに革への刻印や裁断を高い再現性で行えるため、納得いく形になるまで何度も試作を重ねられます。工業用ミシンや卓上ハンドプレスも含め、どれ一つ欠かせない相棒です。
こうした小規模なデスクトップメーカーだからこそ、大手メーカーとは一味違う自由な発想が実現できます。たとえばライブ中に片手で長さを変えられるCourier クーリエは、演奏時のストレスを解消するために生まれた機能重視の一本です。
「演奏中にストラップの長さを変えたい」という現場の悩みを、POM製バックルの耐久性と実用性で解決しています。ギターメーカー時代に培った商品企画の経験が、こうした挑戦的なものづくりに活きているのです。
最後に
708worksのストラップは、情緒ではなく「なぜその素材・工程を選んだか」の積み重ねでできています。安定した品質、素材に合った加工・処理、直感まで含めた素材選び──そのすべてが、あなたの手元での使い心地と耐久性に直結しています。
ストラップは楽器と長く付き合う相棒です。ぜひ一度、その手で質感を確かめてみてください。きっと「これが探していたものだ」と感じていただけるはずです。


